パワートレインは1モーター式のハイブリッドシステム「IMA」と、ハイブリッド専用チューンの1.3リットルエンジンを組み合わせたもので、基本的にはハイブリッド専用車『インサイト』と共通のものだ。ただし、チューニングはフィット専用に変更されているとのこと。
キーをひねると、普通のクルマと同様にエンジンがかかる。Pレンジで停まっているといつまでもアイドリングしたままだが、Dレンジに入れて走ると、暖気終了後はこまめにアイドリングストップするようになる。モーターは出力10kW(14馬力)、トルク8.0kgmと、ハイブリッドカーとしてはミニマムサイズだが、エンジンの仕事モーターアシスト分が直接上乗せされるため、アシスト感は結構ある。
と、ここまではインサイトと似ているのだが、フィット専用のIMAチューニングが施されたためか、インサイトに比べ、いろいろな部分が洗練されているように感じられた。
最も異なるのは省燃費走行のやりやすさ。IMAはスポーツタイプの『CR-Z』を除いて、巡航時にエンジンをオフにしてモーターパワーだけで走るモードがあり、それを利用すると燃費がぐっと上がる傾向がある。
インサイトの場合、巡航しているときに一旦アクセルを緩めてから少し踏み込んだりと工夫しないとなかなかエンジンオフ状態にならない傾向があったが、フィットハイブリッドは巡航していると放っておいてもひとりでにエンジンの燃焼が止まり、瞬間燃費計のゲージが一気に「50km/リットル」へと振り切れる。
また、緩い上り坂でもアクセルの踏みこみが小さいまま乗りきれるようなシーンではエンジンオフのまま走れ、踏み方によっては緩加速も可能であった。これもインサイトに比べて大きく進歩した部分だ。
特別な省燃費走行のテクニックを駆使せずとも燃費の良い状態をキープしやすくなったことは、250kmほどのドライブでの燃費が25.8km/リッターと、燃費チャンピオンであるプリウスの27.5km/リッターに対して思いのほか善戦した大きな要因だろう。ちなみに好燃費の原動力としてもう一つ、省燃費モードの「ECONモード」が備えられたことが挙げられるが、これもインサイトと異なり、加速を過剰にセーブするようなことはなく、ECONモードに入れっぱなしでもストレスなくドライブできる。